本当に履けるガラスの靴について
シンデレラの寓話に登場し女性なら一度は履いてみたいと思うガラスの靴ですが、実現は不可能とさえ言われておりました。
ガラスと云うと局所的な熱、衝撃、引き裂きのストレスには非常に脆く割れ易いイメージがありますが、実は圧縮応力に対しては鉄の約5倍の強度(1平方センチ当たり9〜12トンの垂直静止荷重に耐え得る)と言われております。
永年建築用から工業用、美術工芸用など様々なガラスに触れ、割れる限界点を数多く体験体感して来た経験則から今まで誰一人「履けるガラスの靴」を作らなかったという事が不思議でした。
女性が待ち望んだ「本物のガラスの靴を履く」ためだけであれば、牛乳瓶程度の強度で十分なのです。
そしてあるクライアントのキャンペーンのために「履けるガラスの靴」制作の機会が巡ってきました。
美しく見せるために踵を細く絞っているハイヒールパンプスの形状をそのまま踏襲しても伸縮も変形もせず履けないため、「履けるガラスの靴」は踵の部分が丸くなって実際の靴にはないデザインとなっております。また、甲の部分も足の指が隠れる程度に大きく開口をとっているのも特徴です。
出来上がった「履けるガラスの靴」は従来の置物のガラスの靴とは異なり、展示して鑑賞し、履いて肌身の感触にシンデレラを想い、自身を同化、感情移入できる作品となりました。
そしてシンデレラのガラスの靴に憧れ、探し続けている女性のために、このホームページ上にて2002年5月29日世界で初めて公表しました。
ある程度丈夫なため中には履いて歩く方もいるのですが、実用品の靴ではなく、歩く事は禁止しております。歩くとガラスの靴は転びやすく捻挫したり、靴擦れしたり、割れて怪我をしたりして危険です。
様々なタイプの内、スリーピースと4ピース構成のガラスの靴はスマホと同じ様に強化ガラスにする事も出来ます。高級靴の様に部分的に分解して修理する事も可能です。ワンピースタイプは強化加工出来ません。
別段、特に新しい技術などは使ってないので真似をすれば模倣品は簡単に作れるかもしれませんが、「実際に履けるガラスの靴」は実用品ではなく鑑賞用の作品であり、世界初の著作物です。従って作品を一部加工したり、製法を変えたりしても複製品を作る事はできません。
未だ嘗て誰も創り得ず存在しなかった物を具現化した実際に履けるガラスの靴です。割れ易いイメージの素材なのに実際に履けてしまうガラスの靴は、女性の持つ恋愛や結婚への夢、憧憬、不安、葛藤、至福感などを表現し、鑑賞者にシンデレラの気分をよりリアルに体験して貰える作品です。飾り物であるだけのガラスの靴と違い、履ける様になった途端、実際に履けるガラスの靴は直立し道具を持ったサルが人類になった如く全くの別物となった原始的著作物とも言えるものです。